九品仏(浄真寺)は、東急大井町線の九品仏駅より北へ徒歩3分の地に位置する浄土宗の寺院。当寺についての詳細は九品仏(浄真寺)の記事を参照。
浄真寺では4年毎の5月にお面かぶり(二十五菩薩来迎会)が催される。
浄真寺 お面かぶり
浄真寺では四年に一度、5月5日にお面かぶり(二十五菩薩来迎会)が催される。これは25菩薩(ただし実際は阿弥陀如来と24菩薩)に扮した信者らが楽人や稚児らとともに、本堂と上品堂の間に架けられた橋を三度渡る行事で、二十五菩薩練供養の名で東京都の無形民俗文化財に指定されている。二十五菩薩に扮してこの行事に参加した者は極楽往生できるとされる。
この種の行事の本家は奈良県の当麻寺で(室町時代以降に成立)、関西を中心とした地域では比較的行われているが、関東では浄真寺だけである。浄真寺では江戸時代にも開催された記録はあるものの、明治以降に定例化された。戦前は三日間に渡り行われ、夜を含めて一日に何度も行われていた(現在は一日きりで二回)。
なお、当行事は、2017年の前までは8月開催で、また2024年の前までは3年毎とされていた。
閻魔堂では双盤念仏が行われる。ただし浄真寺の地元の双盤念仏は戦後に途絶えてしまい、現在は他寺の信徒が来て行っている。
楼門の2階の仏像も開帳。
来迎
この行事では、9体の阿弥陀仏を安置する3棟の阿弥陀堂を彼岸(極楽浄土、つまり西方浄土)、釈迦牟尼仏を安置する本堂を此岸(娑婆、つまり現世)に擬し、その間に白道に見立てた仮設橋を渡す。
まず西の上品堂から東の本堂へと、楽人、二十五菩薩、衆僧が仮設橋を渡る。これは念仏行者の臨終に際しての阿弥陀仏らの「来迎」を表すもので、衆僧は散華(花弁型の紙片を散らす)しながら進む。
このお面かぶりの時の境内模型は世田谷区立郷土資料館にあるもので、仮設橋の奥側が本堂、手前側が上品堂である。
二十五菩薩(阿弥陀如来と24菩薩)は各自が携えている持ち物が異なる。
橋の中央の大塔婆から東西に伸びる白布は、東では本堂入口で釈迦如来の手から伸びる五色の糸と繋がり、西では上品堂の入口で3体の阿弥陀如来の手から伸びる五色の糸と繋がっている。
往相
菩薩らが本堂から上品堂へと戻る往相は、開山珂碩上人の木像を往生人になぞらえた極楽往生を表すもので、稚児行列なども加わる。
往生人になぞらえた珂碩上人像を乗せた厨子。開山珂碩上人像は東京都指定有形文化財。
続いて稚児行列。
山主(住職)ら。
山主の後にも稚児が続く。
還相
還相は往生した上人が浄土(上品堂)から現世(本堂)に戻って人々を念仏教化する様子を表したもので、類似の行事を行う他寺でも見られない。
還相においては二十五菩薩役の檀信徒らは素面となる。
山主らが橋の中央で「南無阿弥陀仏」と念仏を繰り返す。