誕生寺
誕生寺は、千葉県鴨川市の、JR外房線の安房小湊駅より南東へ徒歩18分の地に位置する日蓮宗の寺院。山号は小湊山。
日蓮宗七大本山の一つ(日蓮・法華宗諸派のうち、教団「日蓮宗」は総本山久遠寺の下に七つの大本山がある)。
当地は宗祖日蓮が貞応元年(1222年)に誕生し12歳まで暮らした地で、建治2年(1276年)にはその生家跡に高光山日蓮誕生寺が創建。明応7年(1498年)と元禄16年(1703年)の地震・津波で旧境内(生家跡)が海没し、現在地へと移転した(被災のたびに移転したと伝えるが、実際は最初の地震後に現在地へと移転したとも言う)。元禄年間(1688-1704年)に山号を小湊山と改めた。
旧境内には日蓮生誕時に湧出し産湯に使われたと伝える井戸があった。現在地に当寺を再建した際、新たに泉が涌出したので、その名を継承。
仁王門(山門)は江戸中期の1706年建立。楼上の般若の面は左甚五郎作と伝える。千葉県指定有形文化財。
祖師堂は江戸後期の1846年建立。鴨川市指定有形文化財。宗祖日蓮を祀る。
本師殿宝塔は昭和63年建立。釈迦如来を祀る。
本堂は平成3年建立。
客殿は、宮家を迎える貴賓殿として昭和8年竣工。
誕生堂は昭和58年大改修。幼少時の日蓮とその両親の像を安置。
太田堂は1863年建立で、向拝彫刻は三代伊八作。太田家守護神の太田稲荷大明神を祀る(太田道灌曾孫の康資の墓が当寺にある関係で)。また七面大明神、妙見菩薩、清正公も合祀されている。
龍王堂は八大龍王を祀る。
弁天池には小湊弁財天が祀られている。
日蓮聖人御幼像は昭和10年建立。
宝物館は平成元年竣工。
旧鎮守・小湊神社
隣に鎮座する小湊神社は、江戸時代は誕生寺の鎮守社で、三十番神を祀る番神堂であったが、明治維新時の神仏分離で独立した。
現在の祭神は天照皇大神。
社殿は拝殿・幣殿・本殿を連結した権現造で、昭和2年建立。
本殿は以前は脇障子があったが、近年失われたようだ。
鯛の浦と蓮華ヶ淵
日蓮の生家跡は明応・元禄の地震と津波で海没したが、日蓮の誕生時、鯛が飛び跳ね、青蓮華が咲いたとの伝説から、鯛の浦、蓮華ヶ淵と呼ばれる。
鯛の浦はマダイの群棲地で国指定特別天然記念物。また蓮華ヶ淵には弁天島があり、干潮時には歩いて渡れる。
年中行事
誕生寺の主な祭礼としては、2月の宗祖ご降誕会と11月のお会式がある。
- 2月16日 - 宗祖ご降誕会
日蓮の生誕日である2月16日を祝い、神輿に日蓮の幼像を戴いて巡行する。 - 11月12日 - お会式
日蓮の逝去を記念する法会。当寺では七五三詣りも組み合わさっており、万灯練行列や稚児行列が行われる。
近くには、日蓮の両親の廟所である妙蓮寺もある。