宝厳院
宝厳院(ほうごんいん)は、埼玉県川口市の、埼玉高速鉄道の鳩ヶ谷駅より北西へ徒歩18分の地に位置する、真言宗智山派の寺院。
通称は慈林薬師。正式には医王山慈林寺宝厳院。また、三度も勅使が派遣されたので山号は三勅山とも言う。
天平11年(739年)、聖武天皇が光明皇后の眼病平癒を祈ると薬師如来の霊夢があり、それに従い霊地(現・境内)に行基を派遣すると皇后は平癒したので、同13年(741年)に薬師堂を建立したのが創建。文徳天皇の代(850-858年)に再興された。
境内は整っている。
境内の龍灯の池には様々な伝説がある(後述)。
仁王門(山門)は川口市指定有形文化財。表側に仁王像、裏側に風神雷神像が収まる。
寺のHPでは1692年建立。市のHPでは、1698年と1826年の棟札があるが様式等から1826年の建立と推定される、としている。
不動堂(本堂)は昭和50年建立。
宝厳院は本来は慈林薬師の別当寺であり、寺の本尊はあくまで不動明王(慈覚大師円仁作)である。
慈林薬師堂は平成17年改築。こちらの本尊は行基作の薬師如来像。
龍灯の池の伝説
境内の龍灯の池には様々な伝説がある。
この池は、琵琶湖に通じているとも、龍が棲むとも言う。
創建伝承では、行基が霊地を求めてこの池畔に至ると、頭に灯明をかざした龍が舞い降り昼の明るさとなったので当地を霊地と知り、薬師如来像を彫り寺を造営した。また行基が像を刻む際も、この龍灯が手元を照らしたとされる。
また片目の鯉などの伝説もある(なお、片目の魚の類話は全国に多数分布する)。
皇后の眼病を治すために片目を使ったためとも、眼病患者が平癒の礼にこの池に放すと身代わりにいつの間にか片目になるとも言う。