哲学堂公園
哲学堂公園は、東京都中野区の、西武新宿線の新井薬師前駅より北へ徒歩8分、または都営大江戸線の落合南長崎駅より西へ10分の地に位置する区立公園。
哲学者で東洋大学創立者の井上圓了(1859-1919年)が精神修養の場として創設した、圓了の哲学観を視覚的に表現した公園。
明治37年に四聖堂を建設したのが始めで、別名を哲学堂と称した。明治39年には精神修養公園と命名され、昭和19年に東京都に寄付され、昭和50年に中野区に移管された。
園内の建物10棟が中野区の有形文化財に指定されている。また敷地は国指定名勝。また春秋及び毎月第1日曜には、建物の内部が公開される。
哲理門は明治42~45年頃の竣工。中野区指定有形文化財。
哲理門には、「理外の理」を表す、物質界の不思議を表徴する天狗像と、精神界の不思議を表徴する幽霊像を安置。
なお、明治42年製作のオリジナルは非公開で、現在あるのは平成30年製作のレプリカ(と称しているが、顔つきや手の位置などが異なっている)。
四聖堂は明治37年竣工。中野区指定有形文化財。
四大哲学者として東洋の釈迦と孔子、西洋のソクラテスとカントを祀る。
四聖堂内には釈迦涅槃像が安置されている(屋内は通常は非公開)。
六賢台は明治42年竣工。三層の六角塔。中野区指定有形文化財。
東洋の六賢人として、日本の聖徳太子・菅原道真、中国の荘子・朱子、インドの龍樹・迦毘羅仙を祀る。
宇宙館は大正2年竣工の講堂。中野区指定有形文化財。
哲学は宇宙の真理を研究する学問だとの考えに基づく。
宇宙館の内部に収まる皇国殿には聖徳太子像が立つ(屋内は通常は非公開)。
絶対城は大正4年竣工の図書館。中野区指定有形文化財。
書物を読み尽くせば「絶対の妙境」に到達するという寓意にちなむ。
中央にあるのは四聖の肖像碑である聖哲碑(屋内は通常は非公開)。
三学亭は明治42年竣工の、平面が三角形の四阿。中野区指定有形文化財。
日本古来の三道(神道・儒道・仏道)の碩学(平田篤胤・林羅山・釈凝然)の石額を奉崇。
無尽蔵は明治42~45年頃の竣工。中野区指定有形文化財。
当初は書庫であったが、絶対城完成後、国内外の井上物を陳列する建物となった。
屋内は通常は非公開。
髑髏庵は明治42年~大正2年頃の竣工。中野区指定有形文化財。
来客はこの休憩室で俗心を清める(「髑髏」は来客の俗心の死を表現した言葉)。
鬼神窟は明治42年~大正2年頃の竣工。中野区指定有形文化財。
髑髏庵から復活廊を経て鬼神窟に至ると、来客の精神は俗界を離れて霊化するとする。
常識門は明治42年~大正2年頃の竣工。中野区指定有形文化財。
常識(日常)の世界から哲学の世界への門。
演繹観は明治42年~大正2頃の建物であったが、平成4年に復元。
なお、対となる主観亭も同年に復元されているが、こちらはかつてとは形状や位置が異なる。
鬼神窟の裏にある四阿は昭和10~15年頃の竣工。
三祖苑の三祖碑には、ギリシャのタレス(多礼須)、インドのアクシャ・パーダ(足目仙人)、中国の黄帝、が刻まれている。
三祖碑の前には石造の腰掛けである三字壇が並ぶ。
河川改修で形状が変わり、「心」の字は形成されていない。
哲学の庭
「哲学の庭」は2009年に完成した庭園で、妙正寺川対岸にある(園内からは橋が掛かる)。この庭園には宗教・哲学・法の偉人の銅像が同心円状に配置されており、世界各地の人が相互理解を深めるには原点に返ることが必要という考えが反映されている(写真撮影禁止)。