鳩森八幡神社
鳩森(はとのもり)八幡神社は、東京都渋谷区の、JR総武線千駄ヶ谷駅、都営大江戸線国立競技場駅、東京メトロ副都心線北参道駅より各徒歩5分の地に位置する鎮守社。
往古、当地に瑞兆あり森から白鳩が数多飛び去ったので、村人が小祠を営み森を鳩森と名付けた。平安時代の貞観2年(860年)、慈覚大師円仁がこの祠に石清水八幡宮を勧請し、神体を彫って安置したと伝える(聖徳太子が彫った八幡像を円仁が安置したとも)。なお、この神体は空襲で社殿とともに失われた。また、異説に奈良時代の神亀年間(724-729年)の創建とも伝える。
境内には都の文化財である富士塚のほか、能楽殿や将棋堂もある。
社殿は拝殿・幣殿・本殿で構成された権現造。平成5年竣工。
氏子地域には能の殿堂である国立能楽堂もあり、当社でも折りに触れ能が奉納される。
将棋堂は昭和61年建立の六角堂。屋根の頂にはクチナシの実の形(将棋盤の足の形)をした金物が載る。
氏子地域には日本将棋連盟の東京本部があり、将棋堂内には連盟奉納の大駒がある。
かつては青山権田原にあった御鉄砲場に鎮座し、甲賀組組屋敷の武士が崇敬した。
千駄ヶ谷富士
千駄ヶ谷富士は1789年築造の富士塚。東京都指定有形民俗文化財。通年登拝可能。
冨士浅間神社の里宮と奥宮の石祠が鎮座する。
盛り土して上層部のみに黒ボク石(富士山の溶岩)を配置し、土の露出部分には熊笹を植栽。麓には富士五湖に擬した池があり、現在は菖蒲池になっている。このように麓に富士五湖を模した池を造るのは江戸の富士塚の基本形だったが、ほとんど現存しない。
また、身禄(富士講を大発展させた先達)の入定窟や烏帽子岩、金明水・銀名水も模されている。
庚申塚
鳩森八幡神社の境内ではあるが、車道に面して、庚申塚の祠がある。
足腰の神として信仰され、草鞋が多数奉納されている(販売の連絡先が書いてある)。
例大祭
鳩森八幡神社の例大祭は、9月中旬に執り行われる。町神輿の連合渡御は3年ごとに催される。また夜には薪能が奉納される。この行事に関する詳細は「鳩森八幡神社 例大祭」の記事を参照。
明治の神仏分離までは、近くの瑞円寺が当社の別当寺であった。