志茂熊野神社は、東京都北区の、東京メトロ南北線の志茂駅より北へ徒歩8分の地に位置する、志茂(旧下村)の鎮守。
当社では、毎年2月7日(日程固定)に、白酒祭と呼ばれるオビシャ神事が行われる。
オビシャ神事はかつては東京周辺で正月に広く行われていた農村儀礼だが、都市化が進む都区部内では現在ではあまり残っていない(ただし近隣の県にはまだ比較的残っている)。
志茂熊野神社 白酒祭
志茂熊野神社で毎年2月7日に催される白酒祭は、悪霊退散等を願って弓を引くオビシャ(御歩射)神事。
白酒祭は、かつては正月行事として1月7日に行われていた、600年の歴史を持つ地域の五穀豊穣を祈願した村祭りが起源で、神社の祭事となったのは昭和初期頃からである。
また、「白酒祭」の名は、かつては村人が熊野神社の裏を流れる川の水を用いて白酒を仕込み、祭礼日に振る舞ったことに由来する。
北区指定無形民俗文化財。
最初に「鬼」と大書された的の前の祭壇で参加者が神事。祭神である熊野大神を祭壇の依代に降臨させて献饌し、その後に大神を帰天させる。
オビシャでは「鬼」と書かれた的に向け、参加者らが3本ずつ矢を放つ。1本目は「捨て矢」として故意に外し、残りの矢を当てるのが習わしで、矢が的に当たると鬼を退治したことになる。神職や氏子総代らのほか、地元官公署の長や企業代表も射撃に参加した。
なお、弓は既製品が使用されたが、トリでは桃の枝で作った弓が使用された。戦前の地誌によると、かつては梅の弓を使用していたようだ。
神楽殿ではこの土地に伝わる白酒作りの作業唄である白酒節、白酒の唄や、東京の民謡である豊島餅つき唄が披露される。
最後に、参観者らにも甘酒と短冊餅が振る舞われる。