勝福寺
勝福寺(通称・飯泉観音)は、神奈川県小田原市の、JR東海道線の鴨宮駅より北西へ車5分の地に位置する、真言宗東寺派の寺院。山号は飯泉山。
坂東三十三観音霊場第5番霊場。
奈良時代、唐の高僧・鑑真が日本に持ち込み天皇に献上した十一面観音像は、天平勝宝5年(753年)に弓削道鏡に下賜され、道鏡はそれを安置する氏寺を建てるべき場所を鑑真に尋ねた。すると鑑真は、下野国薬師寺に下向した際に現・小田原北東部で一泊したその晩、瑞光を放ち花が降り諸天が顕現したのでそこがよいと進言。道鏡はその地を探し、小田原市の千代に氏寺を創建。天平神護元年(765年)に補陀落山弓削寺と号し、天長7年(830年)には夢告に従い現在地に移転、飯泉寺とも弓削寺とも呼ばれたが、室町時代の応永25年(1418年)に勝福寺に改めた。
境内は整っている。
仁王門は江戸中期の1758年建立。小田原市指定有形文化財。
青銅水鉢は1704年製作で小田原市指定有形文化財。
本堂も江戸中期の1706年建立。神奈川県指定有形文化財。
本尊は、鑑真が唐から請来したと伝える十一面観音像。
鐘楼に掛かる銅鐘は1629年製作で小田原市指定有形文化財。
大日堂は昭和43年建立。東と北に向拝がある変則的な堂で、東側(写真左側)が大日堂、北側(写真右側)が北向大師。
寺院には珍しい土俵がある。当寺には、江戸時代の大力士・雷電爲右エ門が仇討ち相撲を取った土俵があったという(講談では舞台は小田原としか述べておらず、小田原のどこかは明言していないようだ)。
六角堂の馬頭堂は平成7年建立。
樹齢700年の大イチョウは神奈川県指定天然記念物。
飯泉八幡神社
勝福寺と地続きの飯泉八幡神社は、江戸初期の元和9年(1623年)に鶴岡八幡宮を勧請して創建。江戸時代は勝福寺の子院・勝地院(廃寺)が別当寺であった。
勝福寺と八幡神社にまたがる樹叢は神奈川県指定天然記念物。