鷺神社・鷲神社

鷺神社・鷲神社鷺(さぎ)神社・鷲(わし)神社は、埼玉県春日部市の、東武伊勢崎線の北春日部駅より北東へ徒歩16分の地に位置する鎮守社。
一つの社殿に、独立した二社の神社が鎮座する珍しい神社。境内や社殿の左半分は旧小渕村(現・春日部市小渕)の鎮守である鷺神社、右半分は旧本郷村(現・杉戸町本郷)の鎮守である鷲神社となっており、両社は法人格も別である。また神社境内の周囲は春日部市なのだが、境内の右半分だけ杉戸町の飛び地である。少なくとも江戸後期から一社殿二社の状態で、口碑では2村が喧嘩した際、社殿前の中央を掘り返し、炭を埋めて分離したと伝える。
鷺神社は、奈良時代の天平勝宝年間(749-757年)に神人の神託に従い創建され(天照大神十二の摂社ほか百二十余社は神人の分身だというので百余尊権現と崇め、宮本院と号した)、後世には衰退したが、室町時代の文明3年(1471年)に再興。明治元年に百余尊権現社から現社名に改めた。現祭神は国常立命。
鷲神社は創建年代は不詳で、江戸時代は鷲明神社と称し、現祭神は天穂日命。

社頭
鷺神社・鷲神社

参道の中央を境界に、左半分は鷺神社・春日部市、右半分は鷲神社・杉戸町。

鷺神社・鷲神社 拝殿
鷺神社・鷲神社

拝殿も、左半分は鷺神社、右半分は鷲神社。拝殿内は中央を板壁で隔離してあるという。

鷺神社 本殿
鷺神社・鷲神社

本殿も二間社で内部は板壁で仕切られており、左半分は鷺神社の本殿。

鷲神社 本殿
鷺神社・鷲神社

本殿の右半分は鷲神社の本殿。

このような形態の神社としては、群馬県安中市・熊野神社と長野県軽井沢町・熊野皇大神社の関係が有名。この2社は運営は独立しているが境内・社殿は共通で、本宮・新宮・那智宮の3棟の本殿があり、本宮が県境上に、新宮が群馬県側に、那智宮が長野県側にある。また神主も別々で、戦前は各々の県で県社に列格していた。

隣接する浄春院との関係

現在隣にある浄春院は、江戸時代、百余尊権現社と境内が混然としていた。その位置関係にも関わらず、浄春院は当社の別当ではなかった。
鷺神社の別当は宮本院で、鷲神社の別当は嶽之坊であった。この2寺は、現・春日部市小渕にあった修験寺院・不動院の配下であった(3寺とも明治維新で廃寺)。
しかし浄春院は境内が混然としていただけでなく「鎮守百余尊縁起」を所蔵するなど当社と無関係ではなかったようで、江戸中期の貞享5年(1688年)頃には、百余尊権現社・鷲明神社の支配を巡って浄春院と不動院の間で争論が起き、寺社奉行の裁定で両社の不動院による支配が認められる事態も起きている。

浄春院
スポットガイド
浄春院 | 埼玉県春日部市
境内の整った曹洞宗寺院
鷺神社・鷲神社
春日部市小渕2150・杉戸町本郷1810 地図
アクセス:東武伊勢崎線 北春日部駅より徒歩16分
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