最勝院
最勝院は、埼玉県春日部市の、東武伊勢崎線・野田線の春日部駅より北西へ徒歩8分の地に位置する、真言宗智山派の寺院。
正式には華林山慈恩寺最勝院。
後醍醐天皇の代(1318-39年)に岩槻の慈恩寺から分離したとも、慈恩寺の僧が慈恩寺より当地に移って永正元年(1504年)に創建されたとも、平安時代に創建されたとも言う。かつては天台宗であったが、真言宗に改宗した。
岩槻の慈恩寺と山号・院号・寺号が同じで紛らわしいので、院号と寺号の位置を入れ替えたとも伝える。
当地の領主であった春日部氏の菩提寺で、春日部市の市祖とされる春日部重行の墳墓がある。
本尊は空海作の千手観音。慈恩寺の本尊を移したものとも。
春日部重行の墓
春日部氏は平安末期に当地に土着した武家。一時は衰退したが、春日部重行(1294-1336年)が後醍醐天皇に仕えて春日部の地頭に任命された。重行は京都で敗戦して自刃し、遺骨は現在地に埋葬された。
大正7年、重行は南朝の忠臣として従四位が贈位された。また春日部市の市祖とされている。
なお、春日部氏は戦国末期に後北条氏に従っていたため、その後北条氏の滅亡とともに領地を没収された。
明治維新時の神仏分離まで、近くにある春日部八幡神社の別当寺であった。