湯島聖堂
湯島聖堂は、東京都文京区の、JR中央線・東京メトロ丸ノ内線の御茶ノ水駅より北へ徒歩2分の地に位置する孔子廟。
寛永9年(1632年)、江戸幕府儒官・林羅山の邸宅に私塾と共に設けられた孔子廟が、元禄3年(1690年)に当地に移転したことに始まる。私塾は寛政9年(1797年)には幕府直轄の昌平坂学問所として再編され、明治4年に実質的に廃止となったが、聖堂はそのまま残った。
日本に現存する孔子廟は数少ないが、それらのうちでは最も有名。儒教の廟なので建物は中国風。国指定史跡。
斯文会館はRC造で昭和10年竣功。設計は伊東忠太。
仰高門はSRC造で昭和10年竣功。宿衛舎が付属する。設計は伊東忠太。
孔子像は昭和50年建立。
斯文会館の裏にあるこの建物は、昭和10年竣功の書庫か。
入徳門は昌平坂学問所時代の1704年に建立。江戸時代の唯一の遺構。
水屋は第二次大戦後の再建。
杏壇門はSRC造で昭和10年竣功。設計は伊東忠太。
廻廊(東廡、西廡)はSRC造で昭和10年竣功。設計は伊東忠太。
大成殿はSRC造で昭和10年竣功。設計は伊東忠太。
孔子を筆頭に、孟子、顔子、曾子、子思といった聖人が祀られている。土日祝のみ内部公開。
孔子廟の常として、大成殿には孔子と共に四配(4人の聖賢)が祀られている。中央の厨子が孔子、東座が顔子・子思、西座が曽子・孟子。
杏壇門や大成殿の屋根には、鬼口頭(シャチホコのような置物)と鬼龍子(虎のような置物)が置かれている。
明神門は伊東忠太の設計で昭和10年竣功。北側の神田明神に面した門。
神農廟
神農廟は、中国の伝説の帝王である神農を祀る。神農を祀る廟は日本では非常に珍しい。神農は医薬の神として信仰されるほか、日本ではテキ屋の職能神でもある(ちなみに博徒の職能神は天照大神)。
通常は非公開であるが、11月23日の神農祭と、5月第3日曜の鍼灸祭で公開される。なお、鍼灸祭は、中国の伝説の帝王である黄帝の祭祀。
この神農像は徳川家光の発願で製作され寛永17年(1640年)に雑司ヶ谷御薬園に置かれたのが最初で、元禄11年(1698年)に湯島聖堂に移された。寛政9年(1797年)以降は聖堂から離れて転々としたが、昭和18年に聖堂に戻った。
神農廟は扉内側に漆喰彫刻の施された土蔵。
大正14年、本郷の医家・木村家の邸内に、神農像を祀る祀堂として竣功し、昭和18年、像とともに当地に移築された。