一之江名主屋敷
一之江名主屋敷は、東京都江戸川区の、都営新宿線の瑞江駅より徒歩15分の地にある古民家。江戸時代に名主だった田島家の旧宅で、江戸期の主屋などが、屋敷林などと共に残る。
田島家は、慶長年間(1596-1615年)に堀田図書という武士が帰農した家で、江戸時代初期に当地で新田(一之江新田)を開発し、元禄年間(1688-1704年)以降は名主を務めた家柄であった。敷地は、東京都指定史跡かつ江戸川区登録史跡となっている。
長屋門は江戸時代後期の建造。
主屋は安永年間(1772-1781年)の建造で、天保年間(1830-1844年)頃に土間が増築されて曲り家となった。
南庭は江戸末期の様子に復元された。
蔵は明治24年の建造。
屋敷林は屋敷の周囲に防風林などとして植えられたもの。屋敷林内には屋敷神の稲荷社が鎮座する(なお主屋内にも、氏神の神棚や仏間とは別に屋敷神の祭壇がある)。屋敷畑跡では、かつては自家用の野菜や薬草を栽培していた。ほかに、空堀や水をたたえた内堀も復元整備されている。
一之江名主屋敷では年中行事として雛人形飾りや五月人形飾り、鯉のぼりや餅つきが行われているほか、11月3日の文化の日には椿文化財まつりと称して「葛西の里神楽」の公演その他が催されている。
名主屋敷の近くには田島家の菩提寺である城立寺がある。