成願寺
成願寺は、東京都中野区の、東東京メトロ丸ノ内線または都営大江戸線の中野坂上駅より南へ徒歩4分の地に位置する、曹洞宗の寺院。
山号は多宝山。
室町時代、荒野だった当地を開拓し財を成した中野長者こと鈴木九郎は、その財を埋め隠した後で人夫を殺害していたが、その罪ゆえに一人娘が神罰を受け蛇と化して池に飛び込んだ。長者が呼んだ僧が池で祈祷すると、蛇が現れて娘に戻り、天に昇った。長者はこれを期に仏門に入り、邸宅を改め正歓寺としたのが創建。永享10年(1438年)とされる。
江戸時代に成願寺へと改称した。
諸堂は戦後の再建だが、揃っている。
RC造の山門は、黄檗様式だとしている。
本尊は釈迦如来。
圓通閣(百観音堂)には、西国・板東・秩父の合計百の観音霊場の像を安置。
龍鳳閣(開山堂)には、当山及び曹洞宗の開祖を祀る。
長者閣は檀信徒の休憩所。
長者閣の屋根上の宝珠?には、大観通宝の図柄がある。
後に当寺を開く鈴木九郎が、千葉の市場で馬を売る前、浅草観音に、馬の代金のうち大観通宝は献納することを誓うが、売ってみると代金は全て大観通宝であった。九郎は正直に代金を全て奉納してより一層働き、後に中野長者と呼ばれるまでになった。
当寺を開いた中野長者こと鈴木九郎の墓。東京都指定旧跡。
佐賀藩の支藩であった蓮池藩の藩主鍋島家の墓所もあり、10基の墓石が立つが、うち藩主は4代直恒だけで、残りは子供たち。
なお、直恒の墓は、蓮池鍋島家の菩提寺である佐賀市の宗眼寺にもある。
明治維新時の神仏分離まで、当寺は十二社熊野神社の別当寺であった。