金王八幡宮
金王八幡宮は、東京都渋谷区の、渋谷駅より東へ徒歩6分の地に位置する、中渋谷(渋谷駅周辺と南青山)の総鎮守。
平安時代の寛治6年(1092年)、渋谷氏が当地に居城の渋谷城を築いた際、城内に創建された(境内は渋谷城跡と伝える)。また一説に康平6年(1063年)創建とも言う。なお、渋谷城は戦国時代の大永4年(1524年)、北条氏綱による関東攻略で落城し、渋谷氏は滅亡した。
渋谷という大繁華街にありながら、江戸時代の彩色社殿が残り、門とともに渋谷区の文化財に指定されている。
二ノ鳥居の直後に立つ神門は渋谷区指定有形文化財。江戸中期の建立(1769年説と1801年説がある)。
社殿は本殿・幣殿・拝殿を連結した権現造で1612年建立。渋谷区指定有形文化財。拝殿には虎と獏の比較的大きな彫刻が浮き彫り・彩色されている。
渡り廊下は大正14年以前の建立。社殿の文化財指定に附指定されている。
末社の金王丸御影堂(こんのうまるみえいどう)は源平合戦の頃の渋谷氏の武将、渋谷金王丸常光を祀る。内部には金王丸自刻の自像が安置されている。
方形造は基本的に仏教建築であり、したがって一般的には神社では、方形造の社殿は、神仏習合色の強い建物以外ではあまり見られない。また、御影堂という名前自体、仏教風のものである。大正5年刊行の『東京府豐多摩郡誌』には金王丸御影堂は廃絶とあるので、それ以降の再興。
宝物殿には、本社神輿と鳳輦を中心に、絵馬や額が展示されている。算額3点は渋谷区指定有形民俗文化財となっている。
台輪幅4尺ある大型の本社神輿は鎌倉時代製作と伝え、江戸初期に御家人が鶴岡八幡宮より担ぎ帰ったとの伝説がある。奥にあるのは鳳輦で昭和31年製作。
本社神輿は渡御しないが、鳳輦は3年に一度、例大祭で巡行する。
金王桜は長州緋桜という品種だとされ、一枝に一重と八重が混ざって咲くと言う。渋谷区指定天然記念物。
特徴的な町神輿
表参道町会の大神輿は昭和31年製作。そこそこ珍しい八棟造。
渋谷二丁目町会の大神輿は、通常のムクリ屋根の神輿に八棟造を組み合わせたような形状をしている。
例大祭
金王八幡宮の例大祭は9月中旬で、3年ごとに鳳輦が渡御するほか、町神輿の連合渡御が毎年、道玄坂付近で行われる。この行事に関する詳細は「金王八幡宮 例大祭」の記事を参照。
明治の神仏分離までは、隣の東福寺が別当寺であった。