子安神社
子安神社は、東京都八王子市の、京王線の京王八王子駅より西へ徒歩2分、またはJR中央線の八王子駅より北東へ徒歩5分に位置する鎮守社。
奈良時代の天平宝字3年(759年)、時の皇后の安産を祈願して創建。
子安社・子易社は全国に分布するが、当社は伝承上の創建年代が古いものの一つ。
市街地ながら境内は神池があるなど整っているほか、様々な個性的な奉納物を献ずる習俗がある。
社殿は外拝殿・内拝殿・幣殿・本殿を連結した権現造。昭和37年建立。
神楽殿は明治42年建立。
厳島神社のある明神池周辺は庭園整備されている。9月の厳島神社例祭(放生祭)では鰻を明神池に放流。
この宮神輿は社務所内に展示されている。当社の戦前の宮神輿は空襲で焼失したので、多賀神社に2基あった宮神輿の1基を譲り受けたもの。重量は1tあり、7月の祇園祭で巡行する。
金刀比羅神社
境内の右奥に鎮座する摂社金刀比羅神社は、江戸後期の1797年に八王子横山町の字屋杢代安太郎が自宅の土蔵に讃岐金刀比羅宮を勧請したもので、後に子安神社境内に遷された。
本殿は、字屋杢代安太郎が讃岐金刀比羅宮を勧請した自宅土蔵を移築したもの。
各種奉納物
当社には、各個人が様々な願をかけて奉納するものに特徴がある。
かつては明神池にて、底抜け柄杓で安産祈願が、底有り柄杓でその御礼が、竹筒で子授け祈願が行われていた。
しかし身重の女性が池に降りるのは危険性なので、現在は拝殿脇に神水殿が建立され、安産祈願は柄杓で神水殿内の神水を三度掬って赤い柄杓立てに収め、御礼は柄杓を神水に一度浸して白い柄杓立てに収める方式になっている。
五社は石神社、白山神社、稲荷神社、御嶽神社、第六天神社の合殿。大シャモジがある石神社は、呼吸器疾患の治癒祈願で二体一組のシャモジを授与され、一体は石神社に供え、もう一体は日常で使う。白山神社は歯の神としてかつては梨を奉納したが、現在は絵馬を奉納。御嶽神社は眼病治癒祈願に、両目を表す「めめ」の文字が書かれた絵馬を奉納。第六天神社は足腰の神で履と杖が組まれた願い杖を奉納する。
葦船社は水子供養の祠。人形や靴、お菓子などが奉納されている。かつて当社が水子供養を頼まれた際、神社側は寺に頼むよう告げたが、頼み込まれて社殿内で祭祀するようになり、昭和53年には独立した祠を建立した。
主な年中行事
当社の特徴的な年間行事としては、以下のようなものがある。
- 1月9・10日 - 初こんぴら祭
境内社金刀比羅神社の祭礼。福娘が神楽殿から福餅を撒き、福笹が授与され、達磨市が立つ
- 3月 - 八王子きつね祭
五社に合祀された稲荷神社の祭礼。狐の仮装行列が市内を練り歩く
- 7月 - 祇園祭
本社に合祀された八坂神社の祭礼。宮神輿が氏子域を渡御
- 9月20日 - 例大祭
本社の祭礼。八王子の芸者衆が踊りを奉納
明治元年の神仏分離令までは、近くの福伝寺が当社の別当寺であった。