成田不動尊(新勝寺)
成田不動尊(新勝寺)は、千葉県成田市の、JR成田線の成田駅または京成本線の京成成田駅より北へ徒歩13分の地に位置する巨刹。正式には成田山金剛王院(神護)新勝寺。
真言宗智山派の大本山(真言宗智山派は京都・総本山智積院の下に三大本山がある)。
平安時代の天慶3年(940年)、平将門調伏に功ありとして不動尊を本尊に創建され、永禄9年(1566年)に現在地へ移転(後述)。
広大な境内に多くの堂宇を擁する関東有数の大寺院で、仁王門、三重塔、釈迦堂、額堂、光明堂は重要文化財。広大な回遊式日本庭園もある。
門前町
新勝寺の手前には風情ある門前町が残る。
門前町にある薬師堂は新勝寺の飛地境内で、新勝寺の3代前の本堂を移築したもの。江戸前期の1655年建立で成田市指定有形文化財。
総門~仁王門
総門は平成19年建立。
仁王門は1831年建立。国指定重要文化財。正面に仁王の、背面には広目天と多聞天の像が安置されている。
仁王門を潜ると仁王池があり、大本堂への石段左右の築山には石碑等が林立する。
毀れ不動堂は仁王池の築山にある小祠。明治32年上棟。壁面全面に彫刻がびっしり施されている。
灯明塔は明治26年建立。煉瓦造・石張り。東日本大震災後に上部が撤去された。
四脚門は明治40年に中山一位局(明治天皇の生母)から下賜されたもの。
背後にある巨大な光輪閣は本坊や客殿を備える建物。
大師堂(遍照殿)は明治21年建立。
弁財天堂は元禄年間(1688-1704年)の建立。
水行堂は1835年建立で昭和41年改築。井戸と井戸屋形は1859年建立。
修法道場は昭和13年建立。
参籠堂は昭和41年建立。
断食堂は昭和39年建立。
阿弥陀堂は江戸末期の1860年建立。
大本堂エリア
仁王門背後の石段を登ると大本堂がある。
大本堂は昭和43年建立。東西に翼殿が接続する。設計は近代数寄屋造の泰斗・吉田五十八。
なお、新勝寺には3代前から現在の本堂まで全て現存する。
鐘楼は1701年建立。成田市指定有形文化財。
一切経堂は1722年建立。成田市指定有形文化財。
一切経堂内に収められている輪転経蔵は享保年間(1716-1736年)の建造か。成田市指定有形文化財。
聖徳太子堂は平成4年建立。
三重塔は1712年建立。屋根の裏側に特徴がある。国指定重要文化財。
大本堂裏の長大な築山は明治12年築造。八大童子や三十六童子、役行者などの像が配置されている。
釈迦堂エリア
大本堂の向かって左(西)に見える諸堂。
釈迦堂は先代の本堂で1858年建立。壁面には彫刻が多数嵌め込まれている。国指定重要文化財。
聖天堂は平成20年建立。
出世稲荷
出世稲荷(荼枳尼天堂)は釈迦堂南側(駅方面)の高台に鎮座し、佐倉藩主・稲葉正通によって寄進された尊像を祀る。
鳥居は、笠木(屋根)の上に宝珠が乗る非常に珍しいもので、宝珠鳥居とも呼ばれる。
出世稲荷(荼枳尼天堂)の社殿は明治21年建立。
社殿の周囲には小祠や狐像が多数ある。
光明堂エリア
光明堂は、大本堂から釈迦堂の手前で右(北)へ向かうとある。
額堂は1861年建立。国指定重要文化財。
堂内には個性的な額が多数あり以前は見ることができたのだが、現在は立入禁止となっている。
開山堂は昭和13年建立。設計は戦前期を代表する建築家・伊東忠太。
朝日観音堂は江戸末期の1867年建立。
天満宮は明治20年建立。
三社は明治元年建立。白山明神・金毘羅大権現・今宮神社を祀る。
光明堂は先々代の本堂で1701年建立。国指定重要文化財。
堂の内外には多数の額が奉納されており、個性的なものも多い。
奥ノ院は奥行11mの洞窟で、奥に不動明王の本地仏である大日如来像を安置する。門扉は毎年7月7~9日の祇園会でのみ開扉。
清瀧権現堂は1732年建立。当寺の守護神である清滝権現と地主神の妙見菩薩を祀る。
本殿と拝殿で構成された神社建築で、成田市指定有形文化財。
平和大塔エリア
平和大塔は新勝寺境内で一番奥にある。
醫王殿(医王殿)は平成29年建立。
平和大塔は昭和59年建立。RC造の大型多宝塔。下方には洋風庭園が整備されている。
平和大塔の脇から成田山霊光館への通路沿いには苔庭が整えられている。
成田山公園
成田山公園は昭和3年に完成し、平成10年に大改修された日本庭園。梅花や紅葉の季節には茶会や演奏会なども行われる。
滝の上には御滝不動尊が祀られている。
洗心堂は修行道場。昭和3年頃建立。
文殊の池、龍樹の池、龍智の池があり、浮見堂も立つ。
書道美術館の敷地には茶室赤松庵がある。
交通安全祈祷殿
交通安全祈祷殿は飛地境内となっている。
新勝寺の沿革
天慶2年(939年)の平将門の乱に際して朱雀天皇の勅を受けた寛朝僧正は、翌年海路で尾垂浜(横芝光町内)に上陸、公津ヶ原(成田市内)に空海作の不動明王像を安置して将門調伏の護摩供を奉修。将門は討たれ、不動尊の託宣もあり、現・不動塚(成田市並木町)の地に勅で神護新勝寺が創建された。
室町時代、荒廃した新勝寺跡から不動尊が発見され、成田村の名主が自分の屋敷内に移した。永禄9年(1566年)、一説に永禄元年(1558年)、領主が伽藍を寄進し現在地に移転した。
お不動様旧跡庭園
お不動様旧跡庭園は、新勝寺の門前町にある。
室町時代、公津ヶ原にて藪の中から怪光が発するので人々がそれを辿ると、朽ちた堂に不動明王像が安置されていた。付近の名主達が協議し、籤引きで最初に山之作村の名主が尊像を背負ったが重くて歩けず、次に成田村の名主の三郎左衛門が背負うと楽々と歩けたので、思召しは成田だとして三郎左衛門邸に移され、そこに永禄9年(1566年)まであったと伝える。
旧地は、その子孫が経営する米屋の敷地内に「お不動様旧跡庭園」として保存されている。
主な年中行事
1月初旬 - 初詣
川崎大師と全国第2位を争うほどの初詣客を集める。
2月3日 - 節分会
関取など有名人が一日に複数回、豆を撒く。節分行事を行う寺社でも最も報道される所の一つ。
2月中旬~3月中旬 - 梅まつり
成田山公園には約460本の梅があり、開花時期には演奏会なども催される。
4月中旬 - 成田太鼓祭
大規模な和太鼓の祭典。太鼓パレードも行われる。
5月中旬 - 平和大塔まつり
大本堂と平和大塔の前で総踊りを奉納。
5月下旬 - 開運厄除柴灯大護摩供
火渡り修行が行われる。
7月上旬 - 成田山祇園会
成田山祇園会(祇園祭)では奥之院が開扉され、神輿や山車が巡行。
9月下旬 - 開運厄除柴灯大護摩供
火渡り修行が行われる。
10月中旬 - 成田弦まつり
三味線の大演奏会や、成田のをどりパレードが行われる。
10月20日~11月15日 - 菊花大会
菊花が展示される。
11月中旬 - 紅葉まつり
成田山公園が紅葉する中、演奏会なども催される。