六郷神社は、東京都大田区の、京急本線の六郷土手駅より北東へ徒歩8分の、多摩川にほど近い地にある六郷14ケ町の鎮守。当社についての詳細は六郷神社の記事を参照。
六郷神社の例大祭は比較的規模が大きく、神輿渡御のほか児童による獅子舞が奉納されるのも特徴。
六郷神社 例大祭
六郷神社の例大祭は6月の第1金土日に執り行われる(式典は曜日に関わらず6月3日固定)。
六郷神社においては神幸祭(宮神輿の渡御)は、5年に一度の本祭の年には一之宮神輿が渡御し、その他の年は二之宮神輿が渡御する。ただし本祭の前年は宮神輿の渡御自体が無い。また、神獅子と呼ばれる子供獅子舞も奉納される。
なお、かつてはこの祭礼は曳船祭で、関東三大船祭りの一つと称されていた。
比較的広い境内は250以上の露店で埋め尽くされる。
土曜日曜には神楽殿で里神楽が奉納される。奉納されるのは江戸の里神楽ではなく、横浜の社中(神楽団体)によるもの。
神幸祭
日曜日には神幸祭として宮神輿が氏子地域を巡行するが、一之神輿が出御するのは5年に一度の本祭の年で、それ以外の年は二之神輿が渡御する。ただし本祭の前年は神幸祭自体が行われない。
一之神輿は昭和7年製作。商店街を渡御中の神幸祭行列は写真のように短いものであったが、六郷神社のウェブサイトに乗っている宮出・宮入の写真を見ると、旗や猿田彦など色々いてもっと長かったようだ。またヨコタ担ぎは見られなかった。
神輿庫に残る二之神輿は幕末の1863年製作とされる。本祭の年以外(本祭前年を除く)の神幸祭ではこちらが渡御する。なお、六郷神社の宮神輿は2基とも珍しい反り屋根となっている。二之神輿はかつては氏子であった対岸の大師河原の大工が作ったもので、一之神輿はそれに倣って製作された。
神楽殿での神獅子
神楽殿では毎年土曜・日曜の両日、里神楽のほかに子供獅子舞も奉納される。東京都には三匹獅子舞が約80カ所で伝承されているが、その多くは多摩の市町村部であって、23区内は約10カ所である。特に六郷神社の三匹獅子舞は子供によるものである点も珍しく、大田区指定無形民俗文化財となっている。
獅子役3名は少年で、牝獅子を巡って中獅子と牡獅子が争う「牝獅子隠し」という、ポピュラーなもの。大人のヒョットコは獅子を煽る「中踊り」。少女2名の「花笠」はスリザサラで伴奏。
神獅子の道行
日曜日には、子供獅子舞が氏子地域を巡行し(道行)、各御神酒所で神獅子を披露する(辻舞い)。この行列は、六郷神社を出発後は宮神輿の渡御行列とは別行動となる。
なお、本祭の前年には行われない。
町神輿の社参
例大祭の期間中は毎年、六郷14ケ町の町神輿約40基も各自で渡御する。金曜日には町神輿が次々に神門内に担ぎ込まれて御霊入れが行われる。町神輿は土曜日曜に各自の地元を巡行したのち、日曜日に神社で御霊返しが行われる。
日曜午後、御霊返しのため神社へ町神輿が次々と到来する。金曜の御霊入れの時と違い神門内は露店と参詣者で埋まっているためか、御霊返しは神門前で行われる。
なお、町神輿には、おそらく本社神輿2基に倣って反り屋根のものが多数あり、地域的特色となっている(反り屋根の神輿は本来は珍しい)。また氏子地域が接する羽田神社の本社中神輿も反り屋根であり、やはり町神輿の中に反り屋根のものがある。
神門前には櫓が立てられ、六郷囃子が奉奏される。
羽田や六郷で盛んなヨコタ担ぎの神門前での披露。当地や羽田はかつては漁師町で、ヨコタ担ぎは船の横揺れを表現したものとされ、羽田神社の羽田まつりで多く見られる。なお、羽田はかつては六郷神社の氏子であったが、昭和32年の祭礼で神輿損傷の弁済問題がこじれて氏子を離脱した。