長谷寺
長谷寺は、神奈川県鎌倉市の、江ノ島電鉄の長谷駅より北西へ徒歩4分の地に位置する、浄土宗系の単立寺院。正式には海光山慈照院長谷寺。坂東三十三観音霊場第4番霊場。
奈良時代の養老5年(721年)、奈良で1本の楠から2体の十一面観音像を彫り、1体を本尊として現・桜井市に長谷寺を創建し、もう1体は有縁の地を求めて海に流すと天平8年(736年)に長井浦(横須賀市)に流れ着いたので、鎌倉に運んで勅命で新長谷寺を創建し祀ったとする。かつては真言宗に属していたが、江戸前期の慶安元年(1648年)、浄土宗に改めた。また第二次大戦後は浄土宗から独立し単立寺院となった。
高さ約9mの木造十一面観音像、弁天窟という名の洞窟霊場、池泉庭園や枯山水庭園、海を見渡せるアジサイ園、と見所の多い寺。
山門を入って左側の池が妙智池、右側の池が放生池。
石段の途中にある地蔵堂は平成15年建立。
海を漂流していた本尊(観音像)にカキガラが付着し長井浦へ導いたと伝えるため、カキガラを祀っているのが「かきがら稲荷」。脇にはカキガラの絵馬が奉納されている。
阿弥陀堂には廃寺となった誓願寺の阿弥陀仏を安置。
観音堂は昭和61年建立。収められている本尊・十一面観世音菩薩像は高さ9.18mで、木彫仏としては日本最大級(撮影禁止)。
八角輪蔵は八王子市の大善寺に江戸中期に建立され、昭和37年に当寺に移築された。
眺望散策路からは海が見える。散策路沿いにはアジサイが植栽されており、6月には有料公開される(後述)。
書院は平成25年建立。見事な枯山水庭園がある。
弁天窟
弁天窟は空海が参籠した地と伝わる。壁面には弁財天とその眷属の十六童子が彫られ、しばしば弁財天と同一視される宇賀神も祀られている。
右側の鳥居が立つ穴が弁天窟の入口で、その左の穴が出口。その間には小さな池がある。
宇賀神はしばしば人面蛇体の姿で現される神で、弁財天と同一視されることも多い。
奥にも弁財天像が安置されており、周囲には多くのミニ弁財天が奉納されている。
アジサイ
眺望散策路沿いには約40種類2500株のアジサイが植栽されており、6月頃には有料で公開される。
長谷寺と横浜・光明寺
長谷寺の別当寺としてはかつて、慈照院と慈限院の2ヶ寺があった。現在は、長谷寺の院号が慈照院であることで分かる通り、慈照院のみが残る。
慈限院の方は明治31~32年頃に名跡が横浜に移り(形式上は寺が移転し)、光明寺となった。
[観音ミュージアム] 時間:9:00-16:30 料金:300円 休館日:無休