鴫立庵
鴫立庵(しぎたつあん)は、神奈川県中郡大磯町の、JR東海道線の大磯駅より南西へ徒歩5分に位置する俳諧道場の庵。
江戸初期の寛文4年(1664年)、崇雪なる者が、西行寺などを創設する目的で五智如来像を持ち込み草庵を結んだのが始まり。元禄8年(1695年)、紀行家・俳人の大淀三千風(おおよどみちかぜ)が鴫立庵として再興しその第一世となり、以降は代々俳人が庵主に就任している。
京都・落柿舎、滋賀・無名庵と並んで日本三大俳諧道場だとしている。
建物は大磯町指定有形文化財、鴫立沢は大磯町指定史跡名勝天然記念物。
鴫立川上に架かる門前の石橋は江戸後期の1825年架橋。鴫立川のこの付近を鴫立沢と呼ぶ。この辺が西行法師の歌に詠まれた鴫立沢だとの伝承は室町時代からあった。
左の俳諧道場(秋暮亭)は日本三大俳諧道場の一つ(他は京都・落柿舎と滋賀・無名庵)だと称し、江戸中期の1765年に増築されたものと伝える。
右の鴫立庵室(東住舎)は三千風が建てたもので、歴代の庵主が居住した。
法虎堂は虎御前の木像を安置する。堂と木像は三千風が在庵の元禄年間に江戸吉原から寄進された。虎御前は曾我兄弟の仇討ち物語に登場する鎌倉時代の遊女。
円位堂(西行堂)も三千風が元禄年間に建てたもので、西行法師像を安置する。
観音堂は昭和初期の建立。本尊の観音像は孫文の持仏で、堂内天井や壁画は朝鮮宮興徳殿の一部。
散策路沿いには多くの石碑石仏が並ぶ。
鴫立庵の五智如来は釈迦・阿弥陀・大日・阿閦・宝生の5如来を指す(5如来の組み合わせは寺などによって若干相違する)。
1664年、西行寺の本尊とする目的で持ち込まれたと言われる。
JR大磯駅付近には他に旧島崎藤村邸などがある。