古江・宮田神社 & 毘沙門堂
古江・宮田神社と毘沙門堂は、埼玉県羽生市の、東武伊勢崎線・秩父鉄道の羽生駅より北へ徒歩4分の地に位置する神社と仏堂。境内は地続きでほぼ共有している。
古江・宮田神社は上羽生の総鎮守だが、氏子は神社の方が毘沙門堂の境内社という認識だといい、9月3日の例祭も、まず神職の神事が神社で行われ、次に僧侶により毘沙門堂の供養が行われ(毎月3日は毘沙門天の縁日)、終わると社務所で神仏合同の直会・供養会が行われる次第となっている。
古江・宮田神社
古江・宮田神社は上羽生の総鎮守。
古江神社は江戸中期の宝永4年(1707年)に上羽生字新田前に宮島厳島神社を勧請して創建され、天保7年(1836年)に石祠となった。
宮田神社は江戸中期の寛保2年(1742年)、火防の神・加具土命を祀って上羽生字宿に創建。
両社は明治4年に合殿して浅間神社の社地(現在地)へと遷座し、浅間神社を境内社とした。なお、浅間神社自体も、創建年代は不詳だが上羽生字観音寺に鎮座していたのを万治3年(1666年)に現在地へと遷座してきた社である。
当社の主体は古江・宮田神社のはずだが、社号碑には境内社である浅間神社の名がある(初山詣の行われる浅間神社の方が知名度が高いからか)。
社殿は毘沙門山古墳という、6世紀後半築造の前方後円墳の上に鎮座する。石段の左脇にあるのは庚申堂。
石段脇には、狛犬などの代わりに石製鏡餅が置かれている。
覆屋内の祠は左から順に、浅間神社(上浅間)、秋葉神社、宮田神社、古田神社。
秋葉神社は現在は由緒が不明となっている。
下浅間は毘沙門堂裏に伸びている古墳の墳丘上に立つ参明藤開山(さんみょうとうかいざん)碑で、造化三神を祀っている。
初山詣で
浅間神社(富士山信仰の神社)での初山参り・初山詣では、東京・神奈川を除く関東各県で6~7月に広く行われている山開きの行事で、神社が鎮座する丘などに、一年内に生まれた赤子と登り、その健やかな成長を祈って額に印を押すもの。またその際には縁起物として初山うちわなどが頒布されることもある。
当社の境内社・浅間神社でも、例祭として毎年6月30日から7月1日にかけて催される。以前はまず下浅間に登り、それから上浅間へお山登りをしていたというが、現在は直接、石段を登って上浅間へ参っているようだ。
毘沙門堂
毘沙門堂は、鎌倉時代の建長8年(1256年)、北条時頼により創建。かつては羽生村・上羽生村の鎮守であった。御堂は神社社殿に類似した複合仏堂で、注連縄も張られている。
拝殿の扁額には多聞天とあるが、毘沙門天と多聞天は同一の仏格。
御堂は本殿を宝形造とする権現造風の複合仏堂。
堂前の掲示には、現在の堂は1706年に建立し、茅葺き・破風造りだったのを大正7年に瓦葺・入母屋造りに改造し彩色したとある。この記述に合致するのは拝殿部分となる。