祐天寺
祐天寺は、東京都目黒区の、東急東横線祐天寺駅より東へ徒歩6分の地にある、浄土宗の名刹。正式には明顕山善久院祐天寺。
増上寺貫主で将軍家の帰依を受けた祐天上人(1637-1718年)の廟所として、当地にあった既存の寺(善久院)を祐天寺と改めて、享保8年(1723年)に開山。
明治27年に大火に罹災したものの、第二次大戦の戦禍は免れ、境内には戦前からの諸堂が残る。
表門は国登録有形文化財。明治前期の建立。
仁王門は目黒区指定有形文化財。江戸中期の1735年建立。
本堂は国登録有形文化財。外陣は明治31年、内陣は明治45年、内々陣は江戸末期の1860年建立。
本尊は祐天上人坐像。
書院は国登録有形文化財。明治28年に庫裏として建立。
水屋は国登録有形文化財。江戸後期の1846年建立。
阿弥陀堂は目黒区指定有形文化財。江戸中期の1724年建立。
五社稲荷堂は、祐天上人誕生時に白狐が鳴いたという随身稲荷ほか、松黒、富山、太白、妙雲の稲荷計5社を合祀したもの。
鐘楼は国登録有形文化財。江戸中期の1729年建立。
地蔵堂とその門は国登録有形文化財。地蔵堂は江戸中期の1787年頃に前方の方三間の堂が建立され、1800年に後方二間が増築された。祐天上人の本地仏とされる地蔵菩薩像を安置する。
地蔵堂の門は1851年の、水屋は1789年の建立。
このように地蔵堂は、宝形造の堂の背後に入母屋造の堂を接続したような形状をしている。
地蔵堂門の天井には、火消しの纏の図案が彫刻されている。
地蔵堂内は通常は非公開だが、時々公開される。外陣の天井絵には江戸火消しの纏の図や恵方盤が描かれている。
仏舎利殿は平成29年建立。正面には祐天上人累済度の大絵馬を展示する。これは、祐天上人が常総市の弘経寺に在住した頃、累(かさね)一族の怨霊を解脱させたとの伝承を描いたもの。
仏舎利殿の背後には宝形造の堂が接続されている。
祐天寺は祐天上人の廟所として、その墓所が整備されている。東京都指定旧跡。土佐藩主山内家の妻子らの墓所もある。
旧崇源院霊屋宮殿
このほかの文化財建造物としては、1628年建造の旧崇源院霊屋宮殿が東京都指定有形文化財。
崇源院は第2代将軍徳川秀忠の正室。
通常は非公開だが、崇源院の命日である9月15日の法要に際して公開(撮影不可)。
主な年間行事
以下のようなもののほか、5月と11月には宝物展示室と阿弥陀堂内が公開される。
桜
境内には桜が多く植えられており、3月下旬頃には見頃となる。品種は染井吉野が主だが、近年、祐天桜も新たに植えられている(花期はかなり近い)。
消防殉職者慰霊祭・防火防災フェア
祐天寺では江戸消防記念会の消防殉職者慰霊祭が4月29日に催されており、江戸火消しの伝統を引く梯子乗りなどが披露される。また東京消防庁の音楽隊・カラーガーズ隊も参加する。この行事に関する詳細は「祐天寺 消防殉職者慰霊祭・防火防災フェア」の記事を参照。
み魂まつり
7月にはお盆の行事としてみ魂まつりが催される。境内では盆踊り大会が開かれ、本堂では閻魔などの十王像が開帳される。この行事に関する詳細は「祐天寺 み魂まつり」の記事を参照。