明治神宮 宝物殿
明治神宮は、東京都渋谷区の、JR原宿駅・東京メトロ千代田線明治神宮前の駅前に位置する大神社。
勅祭社であり、戦前は官幣大社に列し、戦後は神社本庁の別表神社となった、日本を代表する神社の一つ。当社に関する詳細は明治神宮の記事を参照。
明治神宮の境内北端にある宝物殿は大正10年、大江新太郎の設計で竣工。RC造またはSRC造で、岡山万成産の花崗岩張り、屋根瓦は三州産塩焼瓦。
大正12年の関東大震災以降、耐震耐火の観点から急速に普及するRC造も、宝物殿竣工当時は主に軍事施設などに使われるものであって、一般にはさほど普及しておらず、ましてや和風建築にはほとんど使われていなかった。
宝物殿は長らく明治天皇皇后の御物を展示する博物館として機能していたが、収蔵品は令和元年に新設された明治神宮ミュージアムに移管されて旧来の役目を終え、新たに資料館として整備された。
通常は非公開だが、春秋の大祭期間前後などに有料公開されている。
この宝物殿を構成する建造物群一式(正門、中倉、東西北の廊、東西の渡廊、東西の橋廊、東西の倉、車寄、事務所の13棟)が国指定重要文化財に指定されている。
正門はRC造で大正10年竣工。国指定重要文化財。また東西の土塁がそれに附指定されている。
正門の当初の門扉は鉄製で戦時中に供出され、現在のものは令和元年度に復元。
中倉(ちゅうそう)はSRC造で大正10年竣工。国指定重要文化財。奈良・正倉院の校倉造を模した形状。
中倉からは東橋廊・西橋廊・北廊が伸びる。
中倉から伸びるSRC造の東橋廊はRC造の東廊に接続。ともに大正10年竣工で国指定重要文化財。
東廊の南端部は、来客の手荷物を預かる携帯品預所であった。
同様に、中倉から伸びるSRC造の西橋廊はRC造の西廊に接続。ともに大正10年竣工で国指定重要文化財。
西廊の南端部も、来客の手荷物を預かる携帯品預所であった。
東橋廊の更に東にはRC造の東渡廊とSRC造の東倉(とうそう)が連なる。ともに大正10年竣工で国指定重要文化財。
なお、東倉と西倉の北側には、土塁に通用門が設けられている。
同様に、西橋廊の更に西にはRC造の西渡廊とSRC造の西倉(さいそう)が連なる。ともに大正10年竣工で国指定重要文化財。
中倉の背後には事務所があり、それを北廊と車寄が接続する。
全てRC造、大正10年竣工で国指定重要文化財。
事務所は、本館(事務室や貴賓室等)、西附属屋(修理室等)、東附属屋(湯沸所等)、およびそれらを繋ぐ渡廊下で構成。
中倉内は展示スペース。御物が展示されていた頃は撮影禁止であったが、御物が移管されて代わりに明治神宮の歴史等の資料が展示されるようになった今、撮影は可能となった。
宝物殿を囲む土塁の東南隅と西南隅には、旧拝観者用便所と掖門が附属する。