豪徳寺
豪徳寺は、世田谷区の、東急世田谷線の宮の坂駅より東へ徒歩6分の地に位置する、曹洞宗の名刹。
室町時代の文明12年(1480年)、世田谷城主吉良政忠が弘徳院と称する臨済宗の庵を結び、安土桃山時代の天正12年(1584年)に曹洞宗に転じる。江戸初期の寛永10年(1633年)、井伊家の江戸時代の菩提寺となり豪徳寺と改称した。
井伊家や旧佐倉藩主堀田家から移築したと伝える建物や、木造三重塔などの諸堂が並ぶ。招き猫発祥の地とする伝説も残る。
表門は昭和初期築。
仏殿は江戸初期の1677年築。世田谷区指定有形文化財。
三重塔は平成18年建立。
地蔵堂は令和元年建立。
鐘楼は化政期(19世紀初期)以前の建立。
本堂は昭和42年築の鉄筋コンクリート造。
開祖堂は平成11年築。かつては開祖殿に近寄り唐門も潜ることができたが、現在では本堂脇から先へは進入禁止となっている。
書院は旧佐倉藩主堀田家書院と伝え、江戸末期の築で関東大震災前に移築。
赤門は彦根藩主井伊家の江戸屋敷の新中雀門を明治18年移築。
招猫観音を祀る招猫殿は令和4年改築。
豪徳寺は、当地で雷雨にあった彦根藩主井伊直孝が猫により寺内に招き入れられ住職と出会ったとの伝説から招き猫の発祥地を称しており、多くの招き猫が奉納されている。
納骨堂は昭和12年頃築の鉄筋コンクリート建築。
茶室無二庵は、井伊直弼遺愛の茶室を明治期に移築したもの。非公開だが若干うかがうことができる。
彦根藩主井伊家墓所は、滋賀県の清凉寺・永源寺にある井伊家墓所と共に国指定史跡となっている。
藩主は江戸藩邸で死去した藩主は豪徳寺に、国元で死亡すれば清凉寺に埋葬された。豪徳寺に埋葬されているのは2代直孝、6代直恒、9代直禔、10代直幸、13代直弼、14代直憲の6藩主で、うち井伊直弼墓は東京都指定史跡である。
近くには世田谷八幡宮がある。