九品仏(浄真寺)
九品仏(浄真寺)は、東急大井町線の九品仏駅より北へ徒歩3分の地に位置する、比較的大きな浄土宗寺院。
正式には九品山唯在念佛院淨眞寺。
浄土宗大本山増上寺の別院。
中世の奥沢城跡に、江戸中期の延宝6年(1678年)創建。
本堂に向かって同形の阿弥陀堂3棟(三仏堂)が一列に並ぶ、珍しい伽藍配置となっている。当寺の別名の九品仏はこの阿弥陀堂3棟に各3体安置されている計9体の阿弥陀如来像に由来する。
総門は文政年間(1818-1831年)以降に建立。
閻魔堂には閻魔像が安置されている。閻魔堂の周囲は三途の川に見立てた枯山水庭園となっている。
観音堂は奥沢神社の前々代の本殿で、天保年間(1831-1845年)から江戸末期頃に建立され、明治期に浄真寺に移築された。現在は宝形造となっているが、元は寄棟造だったかとも推定されている。
なお、大正2年に建立された奥沢神社の前代の本殿も五社殿として浄真寺に移築されているが、覆屋内に納められており見ることはできない。
山門(仁王門)は1793年建立。世田谷区指定有形文化財。
鐘楼は1708年建立。
なお、当寺の境内は世田谷区指定史跡である奥沢城跡であり、境内を囲むように土塁が残る。この鐘楼の背後に見える土塁もその一部である。奥沢城は室町時代の16世紀中頃に世田谷城の吉良氏により出城として築かれ、豊臣秀吉による天正18年(1590年)の小田原征伐後に廃城となった。
本堂の南脇には石庭と水庭がある。また水庭にはサギソウ園も設けられている。
なお、本堂の北脇にも庭園があるがこちらは少し見づらい。
本堂(龍護殿)は1698年上棟。
本堂の釈迦如来像は東京都指定有形文化財。
3棟の阿弥陀堂は南(むかって左)から下品堂、上品堂、中品堂で、一列に並んで本堂に相対しており、合わせて三仏堂とも呼ばれる。3棟とも1698年の築で世田谷区指定有形文化財。
3棟の阿弥陀堂の各々に上生・中生・下生の阿弥陀如来像各3体が安置されている。この計9体の阿弥陀仏(東京都指定有形文化財)が九品仏の名の由来。
このカヤは東京都指定天然記念物。
このイチョウも東京都指定天然記念物。
お面かぶり
四年に一度、5月5日にお面かぶり(二十五菩薩来迎会)が催される。これは阿弥陀如来と二十四菩薩に扮した信者らが楽人や稚児らとともに、境内の中央に架けられた橋を渡る行事で、東京都の無形民俗文化財に指定されている。この行事に関する詳細は「浄真寺 お面かぶり」の記事を参照。