高安寺
高安寺は、東京都府中市の、JR南武線・京王線の分倍河原駅より東へ徒歩6分の地に位置する、曹洞宗の寺院。山号は龍門山。
平安時代、藤原秀郷が、その居館に市川山見性寺として創建。後に荒廃するが、建武年間(1334-1338年)、足利尊氏が臨済宗の龍門山高安護国禅寺として再興。
尊氏は国ごとに安国寺と利生塔を定めたが、武蔵国では高安寺が武蔵国安国寺となった。
慶長年間(1596-1615年)、曹洞宗寺院として再興。
現在、山門・本堂・鐘楼は都の歴史的建造物が選定されているほか、観音堂も市の文化財となるなど、寺観は整っている。
総門は江戸末期の建立。総門は甲州街道に面して南面していたが、慶長年間以降、甲州街道が寺の北を通るようになり北面するようになった。
山門は明治5年建立。東京都選定歴史的建造物。
山門の天井には龍が描かれている。
山門の正面には一対の仁王像が、背面には地蔵像と奪衣婆像が安置されている。背面の像は割と凝っている。
本堂は江戸後期の1803年建立。東京都選定歴史的建造物。
庫裏は江戸後期の1831年建立。
観音堂は江戸中期の1721年建立。府中市指定有形文化財。
鐘楼は江戸末期の1856年建立。東京都選定歴史的建造物。
墓地の奥に鎮座する秀郷稲荷大明神には、藤原秀郷が鎮守として祀られている。高安寺の境内は秀郷の居館跡と伝える。
稲荷の近くには弁慶硯の井戸もあるが、これは平家滅亡後の源義経が当寺に立ち寄った際、武蔵坊弁慶が大般若経を書き写すのに使用したと伝えるもの。
もう一つの武蔵国安国寺
通常、武蔵国の安国寺と言えばこの高安寺のこととされるが、埼玉県越谷市の安国寺にも武蔵国の安国寺だとの伝承がある。