靖国神社は、東京都千代田区の九段にある、全国の護国神社・招魂社の事実上の総本社。戦前の社格は別格官幣社。当社についての詳細は靖国神社の記事を参照。
靖国神社では春秋の年2回例大祭が催され、双方に天皇より勅使の派遣がある。春季例大祭は毎年4月21~23日に開催される。
靖国神社 春季例大祭
靖国神社では春秋の年2回例大祭が催され、春の例大祭は4月21~23日に固定されている。例大祭期間中は各種演芸も奉納される。また日程をずらして大相撲やプロレスも奉納される。
祭儀としては4月21日に清祓、22日に当日祭、23日に第二日祭と直会が行われる。21日の清祓では祭儀に関わる全てを祓い清める。中心となる22日の当日祭では神饌を供えて祭神を慰霊するが、この際には勅使も供物を献じる。また第二日祭でも当日祭と同様の儀式が行われる(勅使の派遣は無し)。
例大祭の祭儀の構成は春と秋でほぼ同じであるが、秋季でのみ霊璽奉安祭(新規に合祀する祭神の霊璽を奉安する儀式)が当日祭の前夜に執り行われる(また日程が一日長いので第三日祭も行われる)。
神門には日章旗とともに真榊が飾られる。
靖国神社の拝殿の幕は通常は白地だが、祭礼のとき(例大祭に限らず)は紫地の幕となる。
22日の当日祭には天皇から供物を捧げる勅使が派遣される。
華道各派による生花も展示。
サクラソウ約300鉢が例大祭期間を中心に一週間ほど展示される。なお、秋季例大祭では菊が展示される。
奉納芸能
期間中毎日、能楽堂において民謡、舞踊、吹奏楽、古武道演武などが奉納される。
奉納大相撲
例大祭とは日程をずらして、大相撲やプロレスも奉納される。靖国神社はその創建当初から大相撲と深い関係があり、春季例大祭では毎年、横綱以下力士約200名が取組を奉納し、参拝者は無料で参観できる。初切、相撲甚句、櫓太鼓打分といった、本場所では行われない(地方巡業などで披露される)行事も行われる。この行事に関する詳細は「靖国神社 奉納大相撲」の記事を参照。
また、近年ではプロレスリングゼロワンが有料でプロレスを奉納している。
例大祭の日程の変動など
東京招魂社(後の靖国神社)の例大祭の日程は明治2年(1869年)の創建以来かなり変動があったが、明治12年(1879年)に靖国神社と改称した際に5月5~7日と11月5~7日となった。当時の例大祭では5日に臨時招魂祭、6日に大祭、7日に直会祭が行われ、大祭に勅使が派遣された。大正時代初期に春季例大祭の日程は4月29日~5月1日となり、現在のように4月22日が中心となったのは第二次世界大戦後のことである。
なお、『明治東京歳時記』によると、明治12年(1879年)に東京招魂社から靖国神社と改称した当時は、春季例大祭は戊辰戦争の伏見・上野の役、佐賀の乱、台湾の役の戦死者を、秋季例大祭は戊辰戦争の越後・奥羽・函館の役、萩の乱、神風連の乱、西南戦争の戦死者を祀る祭礼で、境内では競馬、撃剣、相撲、神楽、能楽などが奉納され、昼も夜も花火が打ち上げられ、見世物小屋や芝居、露天商が出店したという。