浄名院
浄名院は、東京都台東区の、JR山手線の鶯谷駅より西へ徒歩6分の地に位置する天台宗の寺院。山号は東叡山。
江戸前期の寛文6年(1666年)、寛永寺子院の浄円院として創建。享保8年(1723年)、浄名院と改称。
浄名院は明治以降、江戸六地蔵の新第6番の造立や、八万四千体地蔵の発願がなされるなど、地蔵信仰の寺として名を高めた。
山門は江戸中期の享保年間(1716-1735年)建立。令和4年、袖塀などが撤去された。
明治39年造立のこの地蔵像は江戸六地蔵の新第6番。江戸六地蔵とは、18世紀初期に京都六地蔵に倣って江戸の出入口6箇所に置かれた地蔵菩薩坐像。
江東区富岡(千葉街道)の富岡八幡宮永代寺にあった第6番の地蔵が明治維新時に失われたため、日清日露戦争の戦役者慰霊のためとして明治39年に浄名院に復活。
明治12年、古代にインドの阿育王(アショカ王)が、八万四千の石塔を世界各地に建立したと伝えられることにならい、八万四千体の石地蔵建立を発願。以来、多くの地蔵の石像が立つ。
年中行事
石地蔵万灯会法要
7月下旬には石地蔵万灯会法要(盂蘭盆会)が催される。これは参道や地蔵、石地蔵に灯明を灯すもので、11時に始まり夜にも続く。
へちま供養
「へちま供養」は旧暦8月15日に執り行われる。この日、「へちま地蔵」に祈願すれば喘息に効用があるというもので、へちま地蔵の前にはヘチマが供えられ、御札を求めて信者が集う。明治初年、痰・咳・喘息に苦しむ人々のために秋の十五夜の日(旧暦8月15日)にへちま加持祈祷の法要をしたのが始まりとされる。