府中市郷土の森博物館
府中市郷土の森博物館は、東京都府中市の、JR南武線・武蔵野線の府中本町駅より南へ徒歩20分に位置する市立の野外博物館。
江戸時代から昭和初期の建物8棟を移築しているが、その際、当園を整備前にあった多摩川の自然堤防を、府中市を南北に二分する立川崖線(ハケ)に見立てたうえで建物を配置している。
また建物のほか、市内の遺跡なども復元している。
旧田中家住宅は、江戸後期から明治期の府中宿の代表的な商家(柏屋)。宮町で枡酒・反物・荒物を商う大店で、旅籠も営んで幕末には脇本陣ともなり、当主は百姓代も務めた。
明治天皇の御座所(計5回宿泊)にも使われた奥座敷(明治初期の建造)を移築のうえ、屋敷全体を新築復元した。
寿町に昭和10年に竣工した旧府中町立府中尋常高等小学校の校舎の中央部のみを移築。
梅欅庵は数寄屋造の茶室で、露地庭園も整備されている。
旧島田家住宅店蔵は、府中宿甲州街道沿いの宮町にあった薬屋「島田薬舗」の店蔵。明治21年竣工。
旧府中町役場庁舎は宮西町に大正10年竣工。東京都指定有形文化財。
旧府中郵便取扱所は宮西町に幕末~明治初期に竣工。府中番場宿の名主兼問屋であった矢島家は、居宅を改造して明治5年に郵便取扱所を開設した。
河内(こうち)家はハケ(立川崖線)上で麦作・養蚕などを営んだ農家。三鷹市の大沢から幕末の1844年に府中市若松町に移築されたもので、養蚕が盛んだった明治後期の姿に復元された。府中市指定有形文化財。
越智(おち)家はハケ(立川崖線)下で稲作を中心に畑作や養蚕を営んだ農家。江戸後期に稲城市の坂浜に建てられ、明治22年に府中市南町に移築。
三岡家の分家(是政村の村役人)が1829年に是政に建てた長屋門。両側部屋部分を総塗込め蔵造の置屋根とした特異な形式。東京都指定有形文化財。
まいまいず井戸(地面をすり鉢状に掘った井戸)は、寿町で見つかった平安期のものを復元。
柄鏡形敷石建物跡は、縄文中期の集落跡である清水が丘遺跡にあったものを移設。
博物館本館の屋内展示
博物館本館の屋内展示として府中の歴史や市域の民俗について知ることができるほか、追加料金を払えばプラネタリウムも体験できる。
武蔵台遺跡は、武蔵台にある、旧石器時代~平安時代の遺跡。この模型は縄文早期の集落の様子で、出土した土器と共に展示してある。
武蔵府中熊野神社古墳は、西府町にある、日本最古の上円下方墳。国指定史跡。上円下方墳は全国に10基にも満たない、珍しい墳形の古墳。
府中には奈良時代から平安時代、武蔵国の政治を担った武蔵国府が置かれた(国府があったので「府中」)。その中枢たる国衙は現在の大国魂神社一帯にあった。
府中は近世以降は、甲州街道の宿場町として栄えた。模型は幕末から明治初期頃の府中宿。
5月初旬に行われる大国魂神社の例祭「くらやみ祭り」は東京多摩地区でも代表的な祭礼の一つで、紹介するコーナーが設けてある。
この神輿は前代の大国魂神社の本社神輿で明治35年製作。
車返(白糸台)のサイノカミを再現したもの。サイノカミ(どんど焼き)は1月上旬に行われる祭礼で、正月飾りなどを燃やす。
梅とアジサイ
園内には様々な草木が植えられているが、特に梅とアジサイが多く、開花時期にあわせ、2~3月には「梅まつり」、6月にはあじさいまつりが催される。