池上本門寺
池上本門寺は、東京都大田区の、東急池上線の池上駅より北へ徒歩8分の地に位置する、日蓮宗の大本山。
この場合の「日蓮宗」とは教団名で、日蓮宗・法華宗諸派には大きく分けて一致派と勝劣派があるが、宗教法人日蓮宗は一致派のほぼ全体と勝劣派の一部が合同した宗派である。宗教法人日蓮宗には、山梨県にある総本山久遠寺の下に大本山が7ヶ寺あり、そのうちの1つが池上本門寺である。
池上本門寺は宗祖日蓮(1222-1282年)が没し(場所は隣にある子院の本行寺とされる)、荼毘に付された地として霊跡寺院となっている。
総門は大田区指定有形文化財。江戸中期に当たる元禄期(1688-1704年)の建立。
表参道石段坂(此経難持坂)は17世紀初頭に加藤清正が寄進したもので、大田区指定有形文化財。
仁王門(三門)は昭和52年建立。
日朝堂は昭和48年建立。室町時代に身延山の法主であった日朝を祀る。
大堂(祖師堂)は昭和39年建立。宗祖日蓮を中心に祀る。
五重塔は1608年建立。国指定重要文化財。
宝塔は1828年建立で国指定重要文化財。日蓮の荼毘所跡と伝える地に立つ。
文化財指定の名称は宝塔だが、当寺では多宝塔と呼ばれてきた。
国指定重要文化財の宝塔内部には、附指定の宝塔が収められている。
通常は非公開だが、10月の御会式で公開される。
経蔵は1784年建立。大田区指定有形文化財。
経蔵内には八角輪蔵が収まる。
三重塔型の清正公堂は令和6年建立。
長栄堂は昭和34年建立。本門寺の鎮守である長栄大威徳天(長栄稲荷)を祀る。
客殿・寺務所は昭和53年建立。
本殿は戦前にあった釈迦堂を、昭和44年にRC造で再興したもの。釈迦像を中心に、本化地涌の四大菩薩(上行、無辺行、浄行、安立行)と日蓮の像が安置されている。
本師(久遠実成の釈尊)が安置されている殿堂ゆえ「本殿」と称する。
堂内にはアントニオ猪木がモデルだという仁王像もある。
御廟所は昭和54年再建。中央の廟堂には宗祖日蓮の灰骨を安置する。向かって左の廟堂には第2世日朗の、右の廟堂には第3世日輪の墓塔が安置されており、正月には扉が開かれる。
政治家・星亨の銅像(大正14年竣工、戦時中に供出)の台座に昭和58年、日蓮像を奉戴。
墓地
紀伊藩主徳川家の妻子の墓所。
熊本藩主細川家の妻子の墓所。
松濤園
松濤園は、小堀遠州の作と伝える、江戸初期造営の回遊式日本庭園。かつては旧本坊の奥庭だった。
通常は非公開だが、5月上旬に一般公開される。当園に関する詳細は「池上本門寺 松濤園」の記事を参照。
主な年中行事
年始 - 除夜の鐘 & 初詣
本門寺の除夜の鐘は、一般人が無料で撞くことができる。先着600名で12月31日の23時より整理券配布。
初詣スポットとしても有名所で、多くの参拝者がある。また、子院の養源寺では三が日にはお囃子や獅子舞があり、3日には餅つきも行われる。
成人の日 - 新春はしご乗り奉納
成人の日(1月第2月曜日)には、大堂前で梯子乗りが披露される。この行事についての詳細は「池上本門寺 新春はしご乗り奉納」の記事を参照。
2月3日 - 節分会
節分会の豆まきは、福男・福女だけでなく有名人も行う、都内でも有名な所の1つ。参加する有名人はプロレスラーが多いことで知られる。この行事についての詳細は「池上本門寺 節分会」の記事を参照。
4月上旬 - 春まつり
4月の最初の週末に催される池上本門寺の春まつりは、土曜日の五重塔まつりと日曜の花まつりから成る。土曜の五重塔まつりでは五重塔での法要や和太鼓の奉納などがあり、日曜の花まつりではパレードやコーラス奉納などがある。なお、花まつり(灌仏会)は釈迦の生誕日(4月8日とされる)を祝う法会である。この行事についての詳細は「池上本門寺 春まつり」の記事を参照。
4月27~29日 - 千部会
千部会とは、宗祖日蓮が1253年の4月28日に立教開宗したことにちなみ、4月27~29日に行われる一連の法要。その第三日目には稚児行列が出る。またこの期間を含むゴールデンウィーク頃、境内では植木市が催される。この行事についての詳細は「池上本門寺 千部会」の記事を参照。
8月4~5日 - 納涼盆踊り大会
みたま祭り期間中、境内で盆踊りがあるほか、4日には本門寺通り商店街から本門寺総門まで盆踊りパレードも行われる。
10月11~13日 - お会式
御会式は、宗祖日蓮の命日である10月13日(ただし本来は旧暦の10月13日で、これは現在の暦に換算すると約1ヶ月後)を中心に行われる法要。日蓮入滅の霊跡である当寺にとって最大の祭礼であり、東京でも代表的な祭礼の1つである。この行事についての詳細は「池上本門寺 お会式」の記事を参照。
子院
本門寺の周囲には多数の子院がある。
奥ノ院・法性寺
逗子市の法性寺は、池上本門寺と比企谷妙本寺の奥ノ院とされる。
外部に移築された池上本門寺の建物
本行寺 御灰骨堂
昭和54年、旧御廟所の建物を隣の本行寺に御灰骨堂として移築。
本行寺 御灰骨堂
町田市妙福寺の祖師堂は、本門寺の祖師堂を1672年に移築したもの。