江戸城シリーズ第5回は、現在、北の丸公園となっている旧北ノ丸曲輪が主題。
北の丸公園
現在北の丸公園となっている旧北ノ丸には、幕末には徳川御三卿であった田安徳川家と清水徳川家の上屋敷などがあった。現在、水濠や石垣に囲まれ、田安門と清水門が残るものの、内部は公園化されている。このエリアは宮内庁の管理外なので、清水門、田安門、旧近衛師団司令部が重要文化財に指定されている。
公共施設も多く、他に日本武道館や科学技術館、東京国立近代美術館などがある。
清水門は枡形門で、それを構成する櫓門と高麗門は国指定重要文化財。共に1658年に築造。また高麗門の両脇の塀が附指定されている。
江戸城跡の門で唯一、門脇に雁木坂が現存する。
田安門を構成する櫓門と高麗門は国指定重要文化財。共に1620年建造。また、高麗門の両脇の塀がそれに附指定されている。
田安門の枡形内からも屋根が若干覗える弥生慰霊堂は、警視庁・東京消防庁の殉職者の慰霊堂。戦前は弥生神社であった。当地に遷ったのは昭和22年。
日本武道館は1964年、法隆寺の夢殿をモデルに、同年開催の東京オリンピックの柔道場として建設。設計はモダニズム建築の旗手・山田守(日本武道館は山田の通常の作風ではない)。
靖国神社高灯籠は道路向かいにある靖国神社の所有。明治4年建立の洋風灯籠であり、洋風の境内だった時代の靖国神社の名残である。当時は海から見えたという。靖国通りの反対側から大正14年移設。
品川弥二郎像は明治40年設置。
大山巌像は大正8年に参謀本部前に設置されたが昭和23年撤去され、昭和44年に現在地に移設。
道路向かいにある千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、第二次世界大戦の戦没者で、身元不明や引き取り手のない約36万人の遺骨を安置する国立の墓苑。
千鳥ヶ淵を望む南側の高台に、高射砲台座跡が7基残る。
旧近衛師団司令部は明治43年築で国指定重要文化財。
北白川宮能久親王像は明治36年建立。なお、北の丸公園内には昭和56年建立の吉田茂像もある。
江戸城北ノ丸跡は、濠に面した外周部以外は、普通の公園となっている。公共施設としては、先述の日本武道館のほか、科学技術館、国立公文書館(移転予定)や東京国立近代美術館がある。
千鳥ヶ淵一帯の桜
千鳥ヶ淵一帯は、田安門から半蔵門まで染井吉野が植えられ、隣接する靖国神社の桜とも繋がる、広大な桜の名所となっており、開花時期には区の主催で「さくらまつり」が開かれる。詳細は「千代田のさくらまつり」の記事を参照。
千鳥ヶ淵公園は、千鳥ヶ淵ではなく半蔵濠に隣接する公園。