上野公園
上野公園(上野恩賜公園)は、東京都台東区の、JR上野駅の駅前にある、東京の代表的な公園の一つ。
敷地は江戸時代は寛永寺の境内であったが、慶応4年(1868年)の上野戦争で寛永寺が焼失した後、明治6年に芝・浅草・深川・飛鳥山と共に日本初の公園に指定された。
大正13年、当時上野公園を所管していた宮内省から東京市に下賜された際に「上野恩賜公園」と命名。
江戸時代からの花見の名所であり、夏には不忍池に蓮の花が咲く。
不忍池は現在、堤で三分されている。これは蓮池で、ボート場があるのがボート池、動物園内にあるのが鵜ノ池。
アジサイは7月頃、不忍池湖畔の歩道沿いに咲く。
シャガは4~5月頃、都立美術館と噴水の間に咲く。
摺鉢山古墳は現存長70mの前方後円墳。
五条天神や清水観音堂は元々はここにあった。
上野公園に残る寺社
寛永寺そのものは現在の東京藝術大学の裏に移動したが、清水観音堂・不忍池弁天堂や、上野東照宮など、焼け残った堂宇や神社などは今も公園内に残る。
寛永寺とその諸堂、上野東照宮および五条天神社・花園稲荷神社の詳細については各々別稿を参照。
上野公園の近代建築
上野公園及びその近隣には、東京国立博物館を始めとする多くの近代建築(戦前建築)がある。
東京国立博物館
日本を代表する博物館。昭和12年竣工の本館と明治41年竣工の表慶館は国指定重要文化財。背後には日本庭園もある。
当館に関する詳細は東京国立博物館の記事を参照。
国立科学博物館 上野本館
国立科学博物館上野本館の日本館は、昭和6年に東京科学博物館本館として竣工。国指定重要文化財。当館に関する詳細は国立科学博物館の記事を参照。
旧東京音楽学校奏楽堂
旧東京音楽学校奏楽堂は明治23年竣工。国指定重要文化財。当所に関する詳細は旧東京音楽学校奏楽堂の記事を参照。
国際子ども図書館
国際子ども図書館のレンガ棟は東京都選定歴史的建造物。明治39年に旧帝国図書館として竣工。当館に関する詳細は国際子ども図書館の記事を参照。
旧京成電気軌道博物館動物園駅
旧京成電気軌道博物館動物園駅は昭和8年建造。東京都選定歴史的建造物。少し南には南口らしき構造物もある。
上野公園の現代建築
本来は当サイトの趣旨からは外れるが、著名な建築家による現代建築(戦後建築)も多いので紹介する。
東京国立博物館
東京国立博物館の現代建築としては、東洋館、法隆寺宝物館、平成館があり、うち東洋館は谷口吉郎、法隆寺宝物館は谷口吉生の父子の設計。詳細は東京国立博物館の記事を参照。
国立西洋美術館
国立西洋美術館の本館は国指定重要文化財。ル・コルビュジエの設計で1959年に竣工。
7ヶ国に散在するル・コルビュジエの17作品が、フランス政府の枠で世界遺産に登録されたが、その構成遺産の1つ。
新館(1979年)はル・コルビュジエの弟子であった前川國男の設計。
東京都美術館
東京都美術館は1975年竣工。設計は前川國男。
東京文化会館
東京文化会館は1975年竣工。設計は前川國男。
日本学士院会館
日本学士院会館は1974年竣工。設計は谷口吉郎。
日本芸術院会館
日本芸術院会館は1958年竣工。設計は吉田五十八。
国際子ども図書館 アーチ棟
国際子ども図書館のアーチ棟は2015年竣工。設計は安藤忠雄。また、レンガ棟裏側の増築部(2003年)も安藤忠雄による。当館に関する詳細は国際子ども図書館の記事を参照。
その他の文化施設
恩賜上野動物園
上野動物園は、明治15年開園の日本最古の動物園。
戦前からの建造物としては、旧寛永寺五重塔、閑々亭、津藩藩主藤堂家墓所、旧正門がある。
当園に関する詳細は上野動物園の記事を参照。
下町風俗資料館
台東区が設立した、下町文化を伝承するための資料館。当館に関する詳細は下町風俗資料館の記事を参照。
屋外には上野広小路三橋遺構(区の有形文化財)が移設展示されている。上野中央通りの工事中に発見された、寛永寺参道の橋3基の遺構で、17世紀中期に築造され、17世紀後半~18世紀前半に改築された。
上野の森美術館
園内にある私立美術館。英語名称はUeno Royal Museumとなっており、日本語名称と全く異なる。
戦前建立の記念物
西郷隆盛像
明治31年除幕。上野公園のシンボル。
小松宮像
明治45年除幕。小松宮彰仁親王は戊辰戦争の奥羽征討総督。
グラント将軍植樹碑
昭和4年除幕。グラント将軍はアメリカの南北戦争の北軍将軍(後に大統領)で、当地で植樹。
彰義隊墓
記念物ではないが、彰義隊の墓がある。上野戦争が行われた5月15日には法要が行われる。
上野公園の主な年中行事
除夜の鐘・初詣
上野公園では新年を迎えると同時に清水観音堂と不忍池弁天堂の扉が開かれ、時鐘堂では除夜の鐘が撞かれる(寛永寺境内の鐘楼も同時に撞かれる)。また五條天神社では大型の焚き火が焚かれる。
うえの桜まつり
上野公園は、花見では日本で有数の知名度を誇る。桜が咲き誇る3月下旬から4月初旬にかけて、大勢の花見客が押し寄せる。当行事についての詳細はうえの桜まつりの記事を参照。
花まつり
4月上旬の「桜まつり」の最中、上野公園では下谷仏教会の主催で「花まつり」も開催される。
名前が紛らわしいが、こちらの「花まつり」は釈迦の誕生日(4月8日とされる)を祝う仏教祭礼であり、明治以降の新暦で4月8日が桜の季節と一致することから異称として「花まつり」が定着した。
上野大仏・パゴダから清水観音堂階段下まで練り行列がある。
西郷南洲翁銅像清洗式
4月には、上野公園のシンボルである西郷隆盛像を紋付き袴姿に着せ替える行事が行われる。当行事についての詳細は「上野公園 西郷南洲翁銅像清洗式」の記事を参照。
さつきフェスティバル
5月下旬頃には、さつきフェスティバルが開かれ、多くのサツキが展示される。この行事についての詳細は「上野公園 さつきフェスティバル」の記事を参照。
うえの夏まつり
うえの夏まつりでは、7月下旬から8月上旬まで、様々なイベントが上野公園を中心に断続的に開催される。骨董市や灯篭流し、氷彫刻展示などが催される。
なお、ハイライトであった「うえの夏まつりパレード」は、コロナ禍以降中止となった。
錦秋展
日本皐月協会は10月頃にも日本皐月協同組合との共催で錦秋展を開き、サツキを展示している。この行事についての詳細は「上野公園 錦秋展」の記事を参照。
創エネ・あかりパーク
11月頃には創エネ・あかりパークと称して、様々な趣向の灯りが灯され、和太鼓の演奏その他のイベントも開かれる。
西郷隆盛生誕祭
12月上旬には西郷隆盛像の前で、隆盛の生誕を祝い神事が執り行われる。
関東甲信地区総合錦鯉品評会
12月上旬には噴水広場で関東甲信地区総合錦鯉品評会も行われる。